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猫を巡るアフォリズム Aphorisms on Cats ~その47~ 猫という時間 [猫と暮らせば]

猫という時間
 
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 ■ 猫は時と共に価値を高めるヴィンテージ・ワインのようだ。(キャロル・ウイルボーン)
  A cat is much like a vintage wine that is enhanced with age. (Carole Wilbourn)
 
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 猫と暮らし始めてもう長いこと経つけれど、その間に楽しいこと辛いこと数えきれないほどの出来事があったけれど、その傍にいつも猫がいたことを想い出すとそれらはまさにヴィンテージ・ワインのように味わい深い時の流れだったように思えてくる。

 ぼくは猫の写真を撮るのが好きで、実際によく撮っているのだけれどただ可愛いというだけの気持ちで撮ったことはあまりなかったように思う。世の中には最近キュートな子猫の写真など可愛い猫の写真があふれているけれど、毎日猫と一緒に暮らしているぼくにとっては猫は日常生活のシーンの必ずどこかに居る自然な存在で可愛いだけの存在ではない。

 猫の魔力はぼくらのありふれた、何の変哲もない日常の時間が猫がそこに居るだけで、何かかけがえないのない時の流れのように思えてくることだ。いわば猫という時間に包まれて魔法にかかったように時間が熟成してゆく。ぼくはそれを撮りたい。

 それはまったりとした憩いの時間もそうだけれど、彼らがソファに爪を立ててそれを叱っている時も、クリニックに連れてゆくために大汗かいて追いかけている時も…、それは猫の時間。それも時と共に心の中で静かに熟成して味わい深い猫という時間に醸し出されてゆく。これからも猫という時間を少しづつカメラに収めていきたい。
 

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桜ちる 雑感 [gillman*s park]

桜ちる 雑感
 
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 ■ いつとなくさくらが咲いて逢うてわかれる(種田山頭火)
 
 桜が咲いている時期はもともと短いのだけれど、今年の桜はいつもよりことさら短かった。近所の公園についていえば咲き始めようとするときに冷たい雨の日が続いて開花が遅れ、満開に咲いたと思ったらそのたった一日だけ晴れてまた雨が降った。奇跡のような一日の花見。それはそれで感慨深いものがある。
 
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 日本人は満開の桜と同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に散りゆく桜が好きなのかもしれない。桜吹雪とか桜が散る「はらはら」とという表現がぼくら日本人の美意識をくすぐるのだけれど、その根底にあるのは「もののあはれ」や潔さや滅びの美学みたいなものらしいが、そういう心情が戦前の軍部や政府にいいように利用されてしまったことも事実だ。

 軍歌「同期の桜」の中の一説「…みごと散りましょ、国のため」なんかは最初から亡びることを想定している。潔さとはそういうもんだと押しつけがましい。本来の兵の要諦からすれば泥を啜っても生き残って戦うというものだろうが、安易に降伏するのではないかという無能な為政者の猜疑心からか兵に自滅を匂わせている。端から自分の兵を信頼していないということだと思う。

 しかし今の日本人に求められているのは「もののあはれ」という心情を知りつつしかも「強かに生きる」という強さでもあると思う。考えてみると「もののあはれ」を尊んだのは古来武士階級などの上層階級が主で、一般庶民はもっとおおらかで強かだったはずだ。

 花見だって江戸庶民にかかれば落語の「花見の仇討」や「長屋の花見」のように陽気でハチャメチャなパーティーに変ってゆく。それにハラハラと散る桜は滅びているのではない、また春がめぐって時が来れば見事な花をつける強かさを持っている。散る桜の美しさはぼくにそう語っているように見える。
 
 ■さくらちる暮れてもかへらない連中に(種田山頭火)
 

 
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それぞれの桜 [gillman*s park]

それぞれの桜
 
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 ■ 祈願して 雨後満開の 花の杜 (対馬康子)

 今年は桜が中々開花しない。寒い雨の日が続いたからか東京でも開花は昨年よりも二週間以上も遅れていた。尤も以前は桜と言えば入学式のシーンだったのだけれど、最近は卒業式のイメージになりつつあったので、それを思えば少しも遅いことはないのだけれど…。

 数日前にやっと開花宣言がでて昨日が満開宣言。でも明日からまた天気が崩れるという事で満開のソメイヨシノを見るのは今日がラストチャンスかも。ということでコンビニでビールとサンドイッチを買ってカミさんと公園に散歩に行く。みんな考えることは一緒で公園は大変な人出だ。
 
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 ■ さくら咲いて、なるほど日本の春で (種田山頭火)

 雨の間に奇跡的に訪れたこの晴れ間という感じで、公園はソメイヨシノのふんわりとした白い霞に包まれていた。地面に敷物を敷いて繕いでいる人々の上を優しく桜の枝が覆っている。こちらではテントを張ってここで一日を過ごそうという家族を背後から桜が見つめている。これぞ日本の春。
 
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 ベンチに座ってカミさんとサンドイッチをつまみながらつくづくと桜を眺めた。この桜を待たずに一月に逝ってしまったいとこにも見せてあげたかった。待っただけに、また咲き誇るのが一瞬の刹那だけに今年の桜はひとしお心にしみる。彼女が末期がんの宣告を受けてから、年は越せないかもしれないと危ぶまれた昨年末。

 元気な様子で迎えた新年は微かな希望と共に訪れたのだけれど、急転直下桜を見ずして寒い最中(さなか)に逝ってしまった。彼女だけでなく、日本人は歳をとると桜の時期には誰しもが来年もこの桜が見られるかな、という思いが脳裏を去来する。良寛禅師の禅語が頭に浮かんでくる。

 ■ 散る桜 残る桜も 散る桜 (良寛禅師)
 

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猫を巡るアフォリズム Aphorisms on Cats ~その46~ TV Watcher [猫と暮らせば]

TV Watcher
 
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 ■ 猫とは、解答のないパズルである。(ヘイゼル・ニコルソン)
  A cat is a puzzle for which there is no solution. (Hazel Nicholson)
 
 猫と何年一緒に暮らしていても、猫たちが時々何もない虚空をじっと見ていたり、いきなり猛烈ダッシュしたり分からないことは山ほどある。この解けないパズルも猫の魅力の一つかもしれない。またそれがそれぞれの猫によってずいぶん異なるという事も楽しみのひとつだ。今まで7匹の猫と暮らしてきたけれどそれぞれの猫が個性をもっていた。

 遊び方も違うし、興味を示すものもみな違う。ただ、遊びについていうと、ウチの猫たちはお金を出して買ったおもちゃにはあまり興味を示さず、遊んだとしてもすぐ飽きてしまう。丸めた紙屑とか床に落ちた観葉植物の葉っぱなどでは飽きることなく遊んでいる。それは共通していた。お金のかからない猫たちである。
 

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 猫たちのテレビに対する反応はまちまちで、大体は無関心か気が付くとしても画面から猫の声がしたときなど極めて限定的で、たいていの猫はそれ以上は殆ど関心を示さなかった。その中でも例外はクロと今のハルなのだが、その二匹の中でも微妙な違いがある。

 クロはNHK-BSの「岩合光昭の世界ネコ歩き」が好きで、番組が始まると画面に近寄って観ていた。クロの特徴は画面の中の猫たちが現実のものと思っているのか、猫が画面から外れるとテレビの裏側に行ってそこに居ないか確かめるという事が毎回起きていた。テレビの裏にいないことを知ると不思議そうに戻ってくる。

 ハルの方はどちらかというとテレ朝の「みんなの動物園」やフジテレビの「坂上どうぶつ王国」が好きで、きっかけは画面から保護猫のか細い鳴き声が聞こえてきたのがきっかけだったのだけれど、最近は猫でなくても犬などの他の動物が写っている時でも観ている。クロのようにテレビの後ろに回って確かめるようなことはあまりなく、画面の中の出来事としてとらえているのかもしれない。

 そのハルが最近は動物番組だけでなく他の番組でもテレビをじっと、というかじっくりと観ていることがある。居間でカミさんとテレビを観ているときにふと気がづくとハルもテレビに向かって観ていることが多い。最近のハルのお気に入りは「相棒」でぼくがトイレなどでちょっと席を外しても一人で観ている。ハルのTV-Watcherとしての成長は著しいのでそのうちチャンネル権を要求してくるかもしれない。う~ん、猫が観ているのは視聴率に入るのだろうか。
 
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