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五月闇 [gillman*s park]

五月闇(さつきやみ)
 
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 ■ 切りこぼす 花屑白し 五月闇 (長谷川櫂)

 もう何か月も公園に散歩に行けていないので、自分の中から季節感が段々と薄れているのが感じられる。と言っても闇雲に季節感を取り戻そうとしている訳ではないけれど、それでも季節感に触れたいという気持ちがあってか最近はよく手元の俳句歳時記をみることが多い。

 

 母の使っていた俳句歳時記が何冊かあるのでそれをよく覗いていたけど、そのうちの一冊は如何にも字が小さい。母も晩年はそれはよく見えなかったんじゃないかと思う。ぼくもそう言う歳になったという事だな。

 

 角川版の四季別で分冊になっている歳時記のデカ文字版があるので今はそれをよく見る。そのうちの「夏」巻は電子書籍のKindleでも買ってみたが、やっぱり歳時期は紙の本の方が親しみが持てる。Kindle版の方はまた旅行に行けるようになったら旅先で読んでみたい。

 

 歳時記を見ながらつくづく感じるのは、季語というのは日本人の季節感の精髄のようでどの言葉にも言霊が宿っているという事だ。俳句は詠めなくても、その言葉に出会うだけでも何か心の琴線に触れてくるものがある。

 

 ぼくの好きな夏の季語の一つに「五月闇(さつきやみ)」というのがあるけど、これは五月というよりは梅雨の合間のいやに暗い日を指しているので、今頃も通じる季語だ。

 

 梅雨の降るころの厚い雲に覆われた、昼夜を問わぬ暗さをいう。ちょっとジメッとした闇の空間を思い浮かべて日常にありながらどこかに潜む異空間を感じさせるし、これは他の季語同様多分に心的な意味も含んでいるような…。長谷川櫂のこの句はその五月闇の中に白い花がポロッと溢れた刹那がイメージとして浮かんでくる。好きな句だ。

 


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 *母はよく俳句を詠んでいたけれど、ぼくは観賞専門で詠むことはないが、人生で折に触れて自分の好きな句が少しづつ増えてゆくのは嬉しい気がします。そういう句の中の季語のイメージが写真で捉えられたらいいなあと思うのだけれど、とても難しいなぁ。


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コメント 10

hagemaizo

写真に情緒、文章に知性。
キーボードに猫の手。
by hagemaizo (2023-07-10 12:29) 

JUNKO

静謐世界へ誘われます。
by JUNKO (2023-07-10 15:25) 

ナツパパ

そういえばうちにも歳時記があるんです、ええ、どこかの本棚に。
それがどこにあるのかが分からないことに愕然とします。
探しましょう...言葉を眺めているだけでも心落ち着きますので。
by ナツパパ (2023-07-10 16:55) 

夏炉冬扇

短歌を詠んだ時期があります。
俳句はムツカシイです。言葉を捨てないといけませんから。
by 夏炉冬扇 (2023-07-10 18:32) 

coco030705

「切りこぼす 花屑白し 五月闇」とてもいい短歌ですね。
そういえば梅雨の時、いやに暗くてうっとうしい日があります。それを五月闇というとは、今まで知りませんでした。gillman さんのお写真が、五月闇を表現しているのですね。いいお写真です。この写真、私の心の寂しさのようなものに、呼応してくれるような気がしています。
by coco030705 (2023-07-11 00:20) 

rannyan

うちもどこかに歳時記があります 
最初に来た子猫たちに歳時記をみて名前を考えたのですが..
そのわりに普通の名前になりました^^;
梅雨の感じも随分と変わってきました 梅雨寒って死語かなと思ってます
by rannyan (2023-07-11 15:55) 

そらへい

写真が詩的なのはそう言う理由だったのですね。
私の写真はなかなかそこまで昇華できないです。
by そらへい (2023-07-11 20:40) 

Inatimy

季語とその意味を知る、今まで見てきた季節に新たな気づきがありそうです。
見えてくるものが違ってくるのって、いい刺激ですね^^。
by Inatimy (2023-07-12 16:57) 

テリー

五月闇、夏の季語ですか。私の全く知らない世界です。
by テリー (2023-07-19 11:02) 

弥七

写真はやはり光と影のコントラストですね。静謐の中に躍動あり。素晴らしい写真です。僕も角川の季節ごとの歳時記を持っています。俳句を作るより味わうスタンス、なるほど。琴線に触れることが至福ですね。
by 弥七 (2023-07-22 06:37) 

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