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僕のニューシネマパラダイス [Retro-Kino]

僕のニューシネマパラダイス
   
                            Creature from the black lagoon

 トルナトーレ監督の映画「ニューシネマ・パラダイス」の中に主人公の少年が映写技師のトトのいる映写室に入れてもらうシーンがあるが、僕も子供のときに一度映画館の映写室に入れてもらったことがあったので、そのときのことを思い出してしまった。

切符売り場の脇の細い暗い階段を昇ると廊下が見える、その奥のほうの左手にドアがあってそこが映写室だった。中に入ると焦げ臭いような匂いと、オイルのような匂いがまざって独特の雰囲気だったのを覚えている。どういう経緯で映写室に入れてもらったのかは覚えていないが、何かドキドキするような別世界があるのを感じた。

・あの頃の映画館(1950年代後半)
僕が子供の頃の映画館では今では見られないようないくつかの光景が見られた。まず、上映中にたびたびフィルムが切れる。特に場末の映画館に来る頃にはかなりフィルムも傷んでいるらしく、いいシーンのところでフィルムが切れて突然真っ暗になる。

すると観客席からピーピーという口笛が鳴り出しざわついてくる。すぐ再開されるときもあるが、場内の照明が薄暗くついた時には、これは長くなるなと分かる。
そんなときはトイレに行ったり、タバコを吸いに外に出る人がでてくる。中々再開されないと、場内にはちゃっかりアイスクリーム売りやせんべい売りが回ってくる。やっと再開されると何事も無かったように映画に戻ってゆくのだからのんびりしていた時代なのかもしれない。

 それからこの頃は一般的には入れ替え制がなかったから、映画の途中でも入って、また見たシーンのところまで来たら帰るというのが普通だった。あ、ここはもう見たなと思ったら一回りしたわけで、それを頭の中で繋げ直して考えるわけだ。
もっとも入れ替えが無いから同じ映画を二回も三回もみる者もいた。僕自身も学生のとき「地上最大の作戦」を三回続けて見たことがある。

 当時、映画館に行くともうとっくに上映が始まっていて、ロビーにまで中の歓声や拍手が聞こえてくることがあった。時代劇などで悪者と主人公の格闘シーンなんかで観客がハラハラしているところに、救援の奉行が馬に乗って駆けつけるようなシーンでは、観客席から盛大な拍手がおこる。「いそげ~」とか「いいぞ~」とか言う声がかかり、まさに観客とスクリーンが一体となっている。
今、そんなことしたら怒られるだろうな。

・最初の映画
 僕の子供の頃に見た映画で記憶がある一番古い映画は「肉の蝋人形館」(House of Wax/1953)という映画だろう。1953年封切りの映画だからその直後くらいに見ているはずだ。自分の記憶では小学校に入ったばかりの頃だと思う。

両親に連れて行ってもらったが、怖くてずっと泣いていたのを覚えている。最初の記憶がホラー映画というのもなんだが、蝋人形館が火事で炎に包まれると蝋人形の顔の蝋が溶けて次第に下から本物の人間の顔が現れてくる。殺人鬼に殺された人たちが蝋人形にされていたのだ。

準主役の博士の助手役の俳優が、風変わりな怖い顔をしていたのが特に恐ろしかったが、後になってその役者は当時チャールズ・ブチンスキーという名で出ていたチャールズ・ブロンソンだと知った。

  

 やはり同じ頃の映画でもう一本記憶にあるのが「大アマゾンの半魚人」(Creature from  the black lagoon/1954)だ。これも両親に連れて行ってもらったが両親は特にホラー映画が好きだったということはないみたいだから、当時話題になった映画なのだろう。

 監督はB級映画の巨匠といわれるジャック・アーノルド監督だがモノクロームの画面の中ではアマゾン川の薄くらい水中の世界が展開される。半魚人は中々姿を現わさない。ちらっと姿が見えたかと思うと水中の岩陰に隠れてしまう。半魚人の全体が見えたときには子供心にもショックだった。この映画には今でも根強いファンがおり、専門のホームページもあるし半魚人のフィギアやティーシャツなどのグッズもずいぶん出ている。因みにこの半魚人の名前はGillman(エラ男)という。僕のハンドルネームはそこからとっている。醜い怪物なのにシャイでそのくせ分不相応なものに憧れて執着している。なんだか得体のしれないところが気に入っている。

               
                            Gillman

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コメント 13

GUSUKO-BUDORI

「大アマゾンの半魚人」だったんですか?
HNの謎がやっと解けました…
昔、真夜中にTVで見たような気がしますが…
スミマセン、記憶が定かでありません。
by GUSUKO-BUDORI (2005-09-06 00:08) 

昔の映画館のお話は、実に懐かしいです。現在は全く足を向けませんので分かりませんが、変わったのでしょうね。わたくしの記憶の古いのは東映のものです。最初に見たのがそれだかどうかは分かりませんけれどね。「百面童子」という東千代之助主演でした。
by (2005-09-06 09:02) 

HNはそこからだったのですね。
出て来る映画は分りませんがm(__)m
昔はよくフィルムが切れましたよね。本編の前には必ず、ニュースが流れていましたし・・・もちろん白黒・・・あのニュースがナレーションも含めて、モノモノしくて、なんだか怖かったな~~。
by (2005-09-06 09:50) 

mami

洋画がお好きなご様子ですね!
若かりし頃(笑)見た洋画で記憶にあるのは、プレスリーの「・・・・の渚」だったような・・・中学校で禁止させていたのに、いとこと2人で見に行きました。後ろを見ると補導係の先生が立っていて、こっそり隠れた思い出があります。
あの頃の映画館は立ち見が多かったです。
古きよき時代でした。
お越しいただきまして、ありがとうございます。m(_ _)m
by mami (2005-09-06 12:40) 

hiro

家の父も映画が大好きでよく映画館に連れて行って貰ったことを思い出します。父が好きだった映画は「略奪された七人の花嫁」で、ことあるごとにもう1回見たいと言ってました。
by hiro (2005-09-06 12:52) 

ナツパパ

学生の頃、3本立ての映画をよく見に行きました。
時間だけはたっぷりとあったんですね。今でもあるんでしょうか、3本立て。
最近は、シネコンプレックスで封切り映画(古い表現ですね)を見ることが多いなあ。でも、なんだかハリウッド映画にも食傷気味です。
by ナツパパ (2005-09-06 21:06) 

「大アマゾンの半魚人」は見た記憶があります。
by (2005-09-07 12:56) 

ecco

こんにちわ。
「キラートマト」なんて映画知りませんよね~
たまたま。
見たんですけど(わざわざ借りて)
でもまだ私も見たよと言ってくれる人には
出会ってないです。
by ecco (2005-09-07 20:25) 

gillman

キラートマト?
見たことないですけど、ちょっと見てみたい
by gillman (2005-09-08 08:10) 

Abraxas

「肉の蝋人形」憶えてます。僕も子供の頃、両親と見に行きました。それをまた20何年か前、英国に来てすぐの頃、こちらのTVでやっていました。こういう映画は、子供に見せるべきではないですね。題名は憶えていませんが、やはり子供の頃、ジャック・パランスが乗客の乗っている空中ケーブルカーを落とそうとする映画で、彼の顔が恐ろしくてゾーッとしたのを今でも憶えています。
by Abraxas (2005-10-21 20:24) 

gillman

少し大きくなってからテレビでチャールズ・ブロンソンが主演のシリーズ・ドラマ「カメラマン・コバック」という番組が放送されるようになりましたが、
ある日それを見ていてあっ、とおもって彼が「肉の蝋人形」に出ていたことを思い出しました
by gillman (2005-10-21 22:23) 

fumiko

私はその時代、邦画から洗脳されたので、2作とも観ていません(sorry~)
半魚人が由来、1つ謎が解明しました!
でもでも、BS-TSBで拝見したgillmanさん&お父上との2ショットを拝見した限りでは、上品で聡明なイメージでした。
ネーミングとのギャップが面白いのかも知れませんね。
タイトルのニュー・シネマ・パラダイスは、なんだか嬉しいです。
拙著については「裏窓」の項、デュマの言葉を引用しての部分が、
自分のお気入り、自慢の箇所です(笑)
by fumiko (2011-07-02 15:17) 

Frefechathe

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