SSブログ

[Déjà-vu] No.6   A Happy Birthday to Someone! [Déjà-vu]

[Déjà-vu] No.6   A Happy Birthday to Someone!


DSC00455sm.JPGZamami island Okinawa 2015

 ■ここ 

 どっかに行こうと私が言う

 どこ行こうかとあなたが言う
 ここもいいなと私が言う
 ここでもいいねとあなたが言う
 言ってるうちに日が暮れて
 ここがどこかになっていく

  (谷川俊太郎 『女に』より) 


 沖縄は大抵冬か春先にしか行かないから、真夏のきらめくような沖縄の姿はよく知らない。もっとも会社勤めしていた頃は仕事だから時期なんかは関係ないので何度か真夏にも行ったことはあるけど…。隠居してからはシーズンオフに行くのは、第一には飛行機代が安いこともあるけど、島にも観光客が殆どいないので土地の人とゆっくり話せたりすることもある。さらにはぼくの場合は春先に行くと花粉症が軽いなどのありがたいご利益もある。

 人がいないと離島などの海岸が独り占めできるという良いこともある。慶良間諸島などの島にお気に入りの海岸線が何箇所かあるのだけれども、そんな中には海岸に半日居ても誰にも合わないということもある。海岸線全体を見渡せるデッキもシーズン中はカフェがオープンして、客でごった返していたのだろうけど今は店も閉まり誰もいない。

 沖縄でも天気が良くなければそれなりに寒く感じるのだけども、ちょっと陽がでれば寒い内地からきたぼくらには十分温かく感じられる。誰もいない海岸のデッキで日永一日、本を読んで過ごすのは自分のサラリーマン時代からの夢だったのだが、そういう場所に出会えたのは幸運だったし、そのきっかけを作ってくれた友人にはいつも感謝している。

 あるとき離島のそんな海岸にいつものように本を持って行ったら、デッキにあるテーブルの上にサンゴを並べてメッセージが書いてある。前の日の昼までは無かったからそのあとに誰かが書いたものらしい。A Happy Happy Birthday 最後にはハートマークまでついている。

 誰に対してのメッセージかは書いてない。その人がその場にいたからなのか、それとも一人で来た人が誰かの誕生日を心の中で祝って書いたのか。「沖縄」「海」「珊瑚のメッセージ」なんてキーワードを並べると頭にはすぐ若者の姿が浮かぶけれど、そうとは限らない。

 このシーズンオフの平日にこの海岸にくるのはぼくのようにもうリタイアした老齢の人間かもしれない。そうすると、今はもういない伴侶の誕生日を想って書いたのかもしれない。ほんとうは「いつか」一緒に来たかったのだけれど、日常の忙しさにまぎれてその「いつか」は、とうとうやっては来なかった…のかも。 誰もいない海は妄想を掻き立てる。



clock02.gif

..


nice!(57)  コメント(5) 
共通テーマ:アート

nice! 57

コメント 5

ZZA700

誰のメッセージか気になりますね^^
曇っていても青く見える海が素敵すぎます(^^)b
by ZZA700 (2017-12-23 17:40) 

ゆきち

古びた木のテーブルに描かれた文字、どんより曇り空が届かぬ想いを連想させるのかもしれませんね。
明るい太陽の日差しがなくてもなお青い沖縄の海♪
行ってみたくなりました^^
by ゆきち (2017-12-23 20:36) 

KINYAN0829

こんにちは
ご訪問ありがとうございます。
by KINYAN0829 (2017-12-24 12:13) 

coco030705

こんにちは。
谷川さんの詩、おもしろいですね。男と女の心が通じ合っている感じがします。いつもこうだといいのですが……。=^_^=
by coco030705 (2017-12-24 13:07) 

aya

私も12月に行った事があります。ガマめぐりなどをして・・・。
寒くてホテルで暖房してほしいと頼むと、ありませんと言われて重ね着をしたことを思い出しました(>_<)
by aya (2017-12-24 20:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント