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朽ちる [gillman*s park]

朽ちる

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 公園に隣接した未整備地区の椎の木林の中。大きなクスノキの足元に一台のバイクが打ち捨てられている。手足をもがれて横たわる獣の屍のように無造作に転がされている。ピカピカの黄色い車体と真っ赤なテールランプは、先ほどまで野を駆け回っていたカモシカの体のように新鮮な印象を与えた。

 打ち捨てられた獣は時がたてばやがて朽ちて土にかえるが、鉄とプラスチックで創り上げられたこの黄色い都会の獣は、その身体が輝きを失っても朽ちることなく永いこと醜態をさらしてそこに居続けなければならない。

gillman_park.gif

 *家の中を整理する必要があって先週くらいから不要な物を捨てるようにしているんですが、出るわ出るわ毎日のようにゴミを出す羽目になりました。粗大ゴミは自分で廃棄処理場に持ち込めば一定数処理してくれるので二回にわたって持ち込みました。それでもまだ出続ける山のようなゴミを前にして、まるで今までゴミの山の中に棲んでいたような気持ちになりました。その中の殆どはタダで手に入れたものではなく、どれも貴重なお金を出して買ったものばかりなわけで、その時わざわざお金を出して手に入れたものがどうしてゴミになってしまったのだろうかと考え込んでしまいました。

  ゴミとなったものの中には故障や老朽化を待たずして、技術の進歩や流行の変化によって価値が薄れてしまったものも多くありました。今、個人消費が落ち込んでいることが景気後退の一つの原因と言われていますが、考えてみれば「現代の消費」とはいかにして、流行おくれ時代遅れなものと思わせて今所有しているものを捨てさせるかというムーブメントに他ならないような気がします。またそのうち景気が戻るということは、この殆ど浪費と言えるような限界的な消費が戻ってくることだとすれば何か釈然としないものを感じます。

 
戦後、何も物を持たないぼくたち日本人が、アメリカのホームドラマなどテレビを通じて見せつけられてきた眩しくなるようなアメリカ式の生活、多くのモノに囲まれたいわば浪費に近いような生活をどこまで続けてゆくのか。そろそろ考え直す時に来ているような気がします。昔ドイツ時代「少しの良いものを永く使う。それがまっとうな生活だ」とぼくの下宿のおばさんがよく言っていましたが、自分の家のゴミの山を前にして今そのことが身に浸みています。
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イチロー

不法投棄か・・アカンですよね・・

by イチロー (2009-06-02 13:19) 

リフソロ

悲しいことですね。
by リフソロ (2009-06-03 05:58) 

としぽ

こんにちは。
日本はアメリカの浪費を見習って急激に成長出来た感じですね。
でも今は浪費よりリサイクル良いものを長く使う欧州的な方向に
向いているのは良いですね。
不法投棄は中々なくならないですね。
by としぽ (2009-06-03 14:58) 

engrid

そうなんですよね。反省
by engrid (2009-06-03 17:10) 

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