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私が一番きれいだったとき [下町の時間]

私が一番きれいだったとき

  
              私が一番きれいだったとき
              まわりの人達が沢山死んだ
              工場で海で 名もない島で
              わたしはおしゃれのきっかけを
              落としてしまった
              …

            茨木のり子「私がいちばんきれいだったとき」


 ずいぶん前、夏、ばあさんとおばさんを柴又に連れて行った。おばさんはもうすぐ九十歳になる。うちのばあさんも八十六歳になる。おばさんは今は杖をついてもそんなに長い距離は歩けない。ばあさんも杖がないと危ない。そのときは今よりはよかった。姉妹で日傘を差しながら参道を歩いている後姿をみると僕はうれしくなる。僕の頭の中でその幸せな夏の日の光景が何度も何度も繰り返されている。おめかしをしてゆっくりと歩こう。もう急ぐ必要は無いんだ。

                  
 
*詩人の茨木のり子さんが先日亡くなりましたね。いい詩がたくさんありました。79歳でした。
 茨木さんの詞「私が一番きれいだったとき」は最期に次のように続きます
           

           わたしが一番きれいだったとき
           わたしはとてもふしあわせ
           わたしはとてもとんちんかん
           わたしはめっぽうさびしかった

           だから決めた できれば長生きすることに
           年取ってから凄く美しい絵を描いた
           フランスのルオー爺さんのように
                             ね


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コメント 16

ecco

今が一番って思えるようにがんばろ~^^
by ecco (2006-02-25 13:23) 

生まれたときは2本足で、年を取ったら3本足になる動物はなーんだ?
というなぞなぞがありました。小さい頃。
答えは人間。年を取って杖をつくからだそうです。
わたしの祖母も杖なしでは歩けなくなり、1人ではもう出かけたがりません。
88歳。戦争を経験している世代が減っていきますね。
by (2006-02-25 13:55) 

shareki

母親が70を超えました、まだ杖はつきませんが、歩く早さはほんとに遅くなりました。
同じペースで歩くといろんな想いが駆け巡ります。
by shareki (2006-02-25 14:48) 

Silvermac

日々「一期一会」です。明日は分からないと思いながら生きています。こんなに生きるとは思わなかったので。
by Silvermac (2006-02-25 15:59) 

ミヤ

戦争の中、一番きれいな青春時代を送った世代。
思うだけで胸が詰まります。
ほんとうに、もう急がないで。
by ミヤ (2006-02-25 16:32) 

みつなり

親って永久に生きているもんだと思っていました。
もっと親孝行しとけばよかった・・・
by みつなり (2006-02-25 20:08) 

モノクロがいいです。
オヤジは昭和4年生まれ、母は8年生まれ。何才だ?
by (2006-02-25 21:20) 

茨木のり子さん、亡くなったのですか??
わぁ~、知らなかった・・・「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」
好きでした。ご冥福をお祈りします。
おかあさま、長生きしてほしいです。
by (2006-02-26 00:04) 

atom

ご無沙汰しておりました。
柴又、30年くらい前に行ったきりです。
モノクロのいい雰囲気が出てますね。
by atom (2006-02-26 01:26) 

hiyayakko

初めて書き込みさせていただきます。
atomさんのところをいつも、「黙って」拝見させていただいているものです。
今朝、あちらで梅の写真の下に草田男の句を発見して、思わずこちらをお訪ねしてしまいました。とっさにあの句を思い出されたgillmanさんは、どんな方なのだろう、、、、と。そうしたら、目に飛び込んできたのが「わたしが、、、、、」の茨木さんの記事。私も、「自分の感受性くらい」が大好きで、亡くなった日にHPの日記に書いたばかり、、、だったものですから。
何か、、、、ご縁?
と思ってしまいました。
これからも、またお邪魔させていただきたく思います。よろしく。
by hiyayakko (2006-02-26 09:00) 

IXY-nob

背中の表情で楽しそうな会話が聞こえてきそうです。こんな姿の美しさを感じることができるなんて、本当に凄いです。
by IXY-nob (2006-02-26 09:16) 

tm-photo

ご訪問ありがとうございました。
柴又ですね。
以前この近くの北小岩に住んでいたことがあるのでこの辺りはよく行きました。
でもまだ写真に凝ってなかったんで写真は残ってないですが^^。

いい詩です、じ~んときます。
うちの母も墨田区の本所界隈で東京大空襲を逃げ回ったもんですから・・・。
by tm-photo (2006-02-26 19:31) 

INOUE

お二人の会話が聞こえてくるようです。モノクロの味わいがあって、
白っぽい日傘が、またすごくいいですね。
by INOUE (2006-02-26 20:03) 

albireo

茨木のり子さんは、僕も好きな詩人の一人でした。
この詩は、最後がとても好きでした。
でも、79歳というのは、今ではまだまだ早いと感じます・・・。
モノクロ写真に、遠い日の夏が写っていますね・・・。
by albireo (2006-02-27 00:23) 

くみみん

はじめまして、うちのblogへのご訪問ありがとうございました。
仲良しの後ろ姿、いいですね。私の母も茨木さんと同年代で、
若い頃にやりたかったことがいっぱいあるけど、年を取ったら
体がいうことを利かないって言ってます。返してあげたいね、
その時間を。
by くみみん (2006-03-01 13:41) 

mel

ある年齢に達する頃から、一般的に周りからはヒドイ言われ方をされて
しまう日本の慣習は(ばばぁ、じじぃみたいな・・)好きではないので
こういう詩をもっと若い人たちに伝わるといいな~と思ってしまう今日この頃です。。
by mel (2006-03-01 16:07) 

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