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夏のドラマ [gillman*s park]

夏のドラマ

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 散歩は春先までは朝食の後午前中にブラブラ公園を散歩していたのだけれど、梅雨が明けてからはそれでは暑すぎて熱中症になりそうなので出来るだけ朝食前の涼しい時間帯にすることにした。ただでさえコロナで病院の救急医療がひっ迫しているのに熱中症でさらに迷惑をかけるわけにはいかない。

 というわけで今日も早朝散歩。夏の初めに公園に新しい出入り口が出来たので、ウチから歩いても3分位で行けるようになった。歩くための散歩だから近くならなくても良いのだけれど直ぐにゆったりとした公園の敷地に入れるというのはやはり嬉しい。公園には林もあったりして朝の内は涼風も吹いている。
 
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 もう今日も猛暑になる予兆はあるけれど、一歩林の中に入るとまだひんやりとした空気が残っている。木陰ではひっそりと蝉の羽化が始まっていた。今頃の時間は明け方から始まる羽化の最後のひと頑張りをしている蝉たちがあちこちにいる。長い地中生活を終えた蝉たちが、解放された空に生命を羽ばたかせるひと夏のドラマが展開されている。

 じゃまをしないように見ていると、茶色い殻から時間をかけてゆっくりと真っ白な蝉が抜け出て、やわやわだったひ弱そうな翅が朝日を浴びてしっかりとしてくると、翅の縁取りと翅脈は空のような海のような美しい青色になる。長い地中の生活を抜け出して、地上での新たなそしてつかの間の命のための第二の誕生。ハッピーバースデー。今日は君の第二の誕生日だね。誕生時間は朝陽が眩しい7時25分頃だよ。
 
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 林の別の所では、ちょっと小柄なニイニイゼミの抜け殻とアブラゼミらしい大きめの抜け殻が仲良く並んでいる。同期の桜ならぬ「同木の桜」とでも言おうか。小さい方のニイニイゼミは普通は木の比較的低い所で羽化するらしいが、ここまで頑張って上ってきたということかな。抜け殻には何一つ無駄のない自然界の生命の美しさのようなものを感じる。

 蝉に限らず脱皮をする生き物は多い。昆虫だけでなく蟹や蛇も脱皮する。もし人間も脱皮したら面白いだろうなぁ。脱皮するとしたらやっぱり幼年から少年になる時期とか、もうちょっと後の思春期だろうな。歳とったらそれこそ脱皮するエネルギーなんて無いから…。

「あら、お宅のカッちゃんこの間脱皮したのね」
「えっ、いつ?、どうして分かったの?」
「だってあそこの公園で抜け殻見かけたもの。ちょっと小柄だし顔つきもカッちゃんそっくり」
「そうなんだ、あの子黙ってるから全然知らなかったわ」
「となりにあの大柄のガキ大将のワタル君の抜け殻もあったから、無理やり誘われたのかもね」
「今晩聞いてみるわ」
「大丈夫よ、誰でもいつかはするんだから」

 なんていう会話が聞けるかも…。

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 *抜け殻だけを見ても中々何の蝉か分からなかったのですが、ネットにその見分け方が出ていました。小さい抜け殻は最初は小さいのでチッチゼミと思っていましたが、ニイニイゼミの抜け殻でした。

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「2013 年 7 月 20 日・面河山岳博物館作成」ネットより

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