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コクーンの街 [新隠居主義]

コクーンの街
 
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 先日、初台のオペラシティのアートギャラリーで行われている「和田誠展」の会期終了が近づいているので、やっぱり観たくなってのこのこ出だした。ひとりで直行、展覧会後軽いランチだけで直帰。コンサートには良く来たけどアートギャラリーの方は初めて。

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 街はやっぱり何となく師走の感じだけど、久しく街に出ないので普段はどういう喧騒だったのかさえ忘れているのかもしれない。久しぶりに来たけど駅はダイナミックで良いなぁ。公園をぶらついているのとはまた違った楽しさがある。ある種の緊張感。

 この喧騒の中に立つと都会はやっぱり人が作り上げているという実感がわいてくる。何かひとつひとつ田舎から出て来たおじさんみたいに、物珍しく新鮮で…。インターバルをおいてモノを観るというのも、それはそれで大事かもしれないと思った。

 久しぶりに身を置いた人混みの中で街の異様さも改めて身に染みた。電車の中でも向かい側の席の人も皆マスクをつけて表情の読めない目が並んでいる。この状況でマスク着用を励行することは大事だし、これだけ励行されていることは世界でも稀有な事なのだけれど、平常時から見ればそれにしても異様な光景ではある。
 

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 それにしてもこんなホラー映画に出てくるような状況に現実で出会うとは思ってもいなかったなぁ。日本人は表情豊かな方ではないけど、それでも顔全体から発せられる感情めいたものは表出されるので仮面舞踏会みたいなこういう状況はとても落ち着かない。

 一方、マスクをしている状態を人間の内側から見ると顔下半分を外界から遮断しただけで何となく、今居る場所の現実感が薄まる感じがする。ぼくは嗅覚が無いからよけいなんだけれども、これでサングラスをしてノイズキャンセラーのイヤホンをしたら…。

 ぼくは以前からそういう状態をモバイルコクーン現象、つまり身にまとった繭(まゆ)に包まれた現象と勝手に呼んでいるのだけれど、外界の刺激を殆ど遮断したこの移動式コクーンに包まれて街をあるけば、ある意味で「歩く引きこもり」みたいな状態になる。妙に現実感を持たない沢山の人々が街を浮遊している、これこそある意味では異様でホラーのような話ではないか。
 

 
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JUNKO

コロナが始まる以前、私はマスク姿がとてもいやでした。マスクをかけた人がだんだん多くなり、目もそれになれ、今や全員がマスクをして当たり前に日常生活を営んでいますいます。とても異様で怖い感じがします。
by JUNKO (2021-12-08 22:05) 

親知らず

飛沫が飛ぶ様子を富岳で見せられてから、マスク無しは考えられません。
最近はマスクも色々売っていて、ファッションアイテムになってますね。
和田誠氏の作品展、さぞかし見ごたえがあった事でしょう。
私も筒井康隆氏や星新一氏のイラストで慣れ親しんでいました。
今日もサイドバーの写真とメッセージで楽しませて頂きました。
by 親知らず (2021-12-08 23:03) 

Baldhead1010

家ではノーマスクなので、出かける時、時々マスクを忘れます。
by Baldhead1010 (2021-12-09 04:10) 

ナツパパ

繭のお話、よく覚えています。
そのお話に共感して、こちらのブログに通うようになりましたっけ。
あの頃から、状況は変わらず、というよりより顕著になった気がしますね。
by ナツパパ (2021-12-09 09:41) 

ゆきち

マスクが日常となり、初めましてからずっとマスクのまま一緒に仕事をしてそのまま転勤になった人。
お互いマスクなしの顔を知らないまま、どこか街中ですれ違ってもきっと気が付かないだろうと思います。
コロナで人との繋がりが必要とされる一方で、自分の好きな環境の中だけで過ごそうとする人も増えている気がします。
by ゆきち (2021-12-09 12:55) 

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