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昭和五十年十一月号 [あの時の文春]


30年の時を越えて… あの時の文春

Ansicht  テロリズムのシフト
 この年(1975年)も後一月を残すのみになった。11月までの主要な出来事を挙げてみると、

4月30日…南ベトナム政権が無条件降伏し解放戦線軍がサイゴンへ無血入城、30年にわたるインドシナ戦争が終結
5月19日…警視庁が前年の三菱重工ビルをはじめとする連続企業爆破事件過激派の容疑者8人を逮捕(1人自殺)
8月4 日…過激派日本赤軍がクアラルンプールで米大使館など占拠し日本で拘置中の過激派の釈放を要求する。日本政府は「超法規的措置」で5人を出国させる
9月30日…天皇、皇后両陛下が初の訪米、ホワイトハウスでフォード大統領夫妻と歓談
11月15日…第1回サミット、仏で開催。米日など6カ国、経済秩序再建を討議。
11月26日…公労協がスト権ストに突入、国鉄は全線で史上最長の8日間(192時間)ストップ

 この中で特に目立つのは「過激派」の動きだ。ここで言う過激派とは連続爆破事件の犯行声明を出した「東アジア反日武装戦線」や「日本赤軍」といった極左のことを指している。ベトナム戦争でアメリカは結局共産勢力に敗退し資本主義への信頼も揺らぎかけていた。そのような時点で文春はこの号で「過激派と爆弾の徹底的研究」という記事を載せている。この記事の中では「世界の過激派」地図が紹介されている。各地域の主な過激派グループを世界地図にプロットしたものだ。
主なものだけざっと見てみると
<アジア>タイ共産党ゲリラ・FRETILINチモール独立革命戦線・NPA新人民軍・反ファシスト人民自由連盟
<中東>PFLPパレスチナ解放戦線・日本赤軍・黒い九月・トルコ人民解放戦線
<ヨーロッパ>西ドイツ赤軍(バーター・マインホフ)・6月2日運動・IRO世界革命機構・クロアチア分離派・反ファシスト解放軍・IRAアイルランド共和国軍
<アメリカ/カナダ>ブラックパンサー党・黒人解放軍・ケベック解放戦線

これを見れば分かるように当時の過激派とは基本的にはイデオロギーに基づいた共産主義もしくは社会主義者の原理主義運動と言ってよいと思う。もちろん民族独立や差別撤廃を掲げたグループも多いが、そのバックボーンは社会主義的イデオロギーに基づいている。

 しかし1991年のソ連邦崩壊以後、いわゆる過激派の動きは大きく変わってきていると思う。ソ連邦の崩壊によって旧ソ連や東欧諸国に地域紛争が多発したが、それはイデオロギー紛争と言うよりは民族紛争であり、そのバックボーンに極左的思想は乏しい。現在過激派と言えば自動的にイスラム過激派を示すことが多い。そのもとの火種はPFLPなどに代表される対イスラエル闘争が元になっている部分が多い。

イスラエルがアメリカ・イギリスというどちらかと言えばアングロサクソン的・キリスト教的世界観の強い西欧資本主義国家をバックにして対アラブ政策を展開してきたことにより、地域紛争は経済紛争・宗教紛争・文化紛争的色彩を強めてきたように思う。特にイラク戦争を機に、もはや国家間紛争というよりはるかに複雑で紛争というよりは闘争という局面になってしまっている。そのような紛争に日本は益々積極的に関与しようとしている。それも仲介的立場ではなく一方の陣営の先鋒としての政治的プレゼンスを作り出している。世界平和への貢献という名の下で。


 昭和五十年11月号(1975)

①Cover Story
~世界はヒロヒトをどう見たか~
▽天皇とアメリカと太平洋戦争…児島襄
-訪米と在位五十年 - 天皇への関心の高まる中、米極秘文書その他を発掘渉猟し、事実と論理で報告する天皇責任論の決定版

②Main Articles
▽ケネディの密会を見た男…T・ブライアント
-警報が鳴り数人の裸女が逃げ散った、大統領夫人が帰ってきたのだ
~読書の秋を迎えて~
▽東洋を語る愉しみ…諸橋轍次
-一国の文明のバロメーターといわれる辞書づくりに、三十余年の歳月を費やした二人の碩学が、いま語り合う漢字文化、東洋文明の真髄
▽ドン・キホーテをもう読みましたか…編集部アンケート
-「古今の名著のうちあなたがまだ読んでいない本は?」編集部では六十人の文化人にこのアンケートを発し、意外な解答をもらった
▽赤い白鳥の生んだ四角い卵…丸谷才一
特別レポート/過激派と爆弾の徹底的研究…立花隆・角間隆
-世界各国で続発する爆弾テロとは何か。その国際的な地下水脈を、豊富な資料と生々しい証言で詳細に分析した緊急・衝撃のレポート
-もし、我々を震撼させた連続企業爆破犯とハイジャック犯として世界に名を轟かす日本赤軍が連帯していたら…?、皇太子ご夫妻への火炎瓶事件と海を隔てた米大統領暗殺未遂事件に関連があるとしたら…?、一つ一つの"点"を追っては何も見えないものが"線"となった時、意外な軌跡を描くことがある。これは、日本と世界の過激派に詳しい立花・角間の両氏が膨大な資料をもとに、爆弾テロの系譜を問い、そして来るべきテロ頻発時代の恐怖を予言した。

③Others
▽最近朝日新聞紙学…加瀬英明
-天下の公器の舞台裏では抱腹絶倒劇が進行中
▽ある不況に強い会社…綱淵昭三
-前代未聞・取締役課長がいる日清紡の経営学
▽空気の研究3…山本七平
-日本独特の「空気」は科学の国際性に挑戦する
▽断髪とミニスカートの都ベルリン…加瀬俊一
-市民は文明に酔いヒットラーは政権を目指す
▽反共劇へのふざけた激励音…上田耕一郎
-創価学会との協定署名者が真実の経過を語る
▽韓国の自由と日本の自由…石原慎太郎
-国境のトンネルに潜って考えた真の自由とは
▽ガンで知った人生の味…丹羽小弥太
-四度の入院・七度の手術で鍛えた私の病人魂
▽歴代首相のゴルフマナー…鈴木卓郎
-近衛文麻呂から三木首相まで政界ゴルフ紳士録
▽大学教授が小説を書けば…新谷識
-変身願望の権化となってしゃにむに書いた
▽逢いびきと子規庵の町…野坂昭如
-ほろ苦い想い出残る根岸、下谷、湯島の町々
▽医者を選ぶも寿命のうち…少壮医師座談会 司会:渡辺淳一
-世間で言う名医と医者の選ぶ名医とは大違い、うっかり患者に聞かされない医師の打ち明け話

④連載小説
▽「少年賛歌」…三浦哲郎
▽「海は甦る」…江藤淳

⑤あの時の広告


*SONYビデオデッキ…ビデオデッキすごい大きいですね。これは確かベータマックスの前の方式でUマチックとか言っていたと思います。当時会社に一台あって研修かなんかに使っていました。当時の値段で20万円以上したんですから大変高価な機器だったんですね。

*Honda Civic…ベストセラー車でしたよね。この車が出たときネーミングとデザインが斬新だなぁと思ったことを覚えています。


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コメント 7

HAL

でっかいビデオ懐かしい〜〜
今見ると、笑えるほどデカい。(笑)
by HAL (2005-11-17 22:31) 

ecco

シビックって今あるんですか?
by ecco (2005-11-18 01:21) 

gillman

まだあるみたいですよ
ハイブリッドカーもあるようですが…
by gillman (2005-11-18 08:11) 

春分

はじめまして。
本棚を見返す趣味は私もございまして、この記事は面白く感じました。
この前の記事も見させて頂きます。
ビデオは、ソニーの大きな形式と言うとUマチックですかね。
by 春分 (2005-11-18 18:22) 

gillman

そうそう、Uマチックでしたね、訂正しておきます
ありがとうございました
by gillman (2005-11-18 21:47) 

女王猫

懐かしい~~^^:
そして時代は移り変わってゆくものなんですね~
いつまでも平和に暮らしていけますように~!
by 女王猫 (2005-11-21 00:49) 

ziziblog

ごめんなさい、こちらはまるでだめ・・・・!(悲)
by ziziblog (2005-11-27 15:51) 

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