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一条の光 [新隠居主義]

一条の光

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 大震災後の胸が痛くなるような映像も目をそらさずに見ていると、普段忘れかけていたいくつかのことが心に蘇ってくる。その一つが今この国を支えている若者達の姿だ。周りを気遣いながらも必死に日常を取り戻そうとしている被災した若者たち、果敢に救援の手を差し伸べる自衛隊、消防そしてボランティアで働く若者たち。

 毎年成人式の季節が来るとお約束通りに各地で暴れる若者の姿をマスコミは報じてきた。引きこもりや無差別犯罪などの社会的病理を若者の姿とダブらせて切り取ってゆくドキュメンタリーも多い。もちろんそれらは今と言う時代における社会の一面をあぶり出す一つの方法として有効なものだとは思うけれど、それがすべてではない。

 というよりも、それらがマスコミを通じて繰り返し頻繁に報じられる事によって、ぼくらはどこかで若者達の持つ本来的な力のようなものを見落とすという罠にはまっていたような気がする。当たり前のことはニュースにならない、というこれまた至極当たり前のことを忘れていたかも知れない。このような難局の時にボランティアを始めとして自分も何かをしたいという若者達の気持ちは報道の画面のそこここからも伝わってくる。

 一口にボランティアといっても、現在ではその広がりはぼくらの想像をはるかにしのいでいる。被災地に行くだけがボランティアではない。例えばマッパーといわれる若者達はネットワークで繋がりながら自宅で被災地の最新状況を反映した地図を作って公開している。現地に居ては逆に見えないものを衛星画像やインターネット空間に浮遊している様々な情報をかき集めて被災地の地図に落とし込んでゆく。それは現地で救援を行っている人達の大きな力となっている。これらを支えているのも若者たちだ。

 不甲斐ない政治の姿に嘆息する毎日の中で、彼らの姿はぼくにとっては暗闇に差し込む一条の光のように思える。その姿を目にすると、この国もまだまだ捨てたものじゃないなと感じる。さて、自分も今できるだけのことをしようという気にさせてくれる。


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 *東北新幹線も50日たらずの驚異的なスピードで復活しましたね。なんとか連休前までには復活させたいということだったようですが、明確な目標設定がなされたときの日本人の現場力のようなものの凄さを見せられた気がします。

 **台湾に帰っていたD君たちが日本に戻ってきました。滞在ビザの残りの期間を日本で過ごしたいということでした。韓国に帰っていたKさんも大阪の専門学校に通い始めました。日本語学校を卒業して帰国したOB達の何人かも近々東京に遊びに来るようです。少し、いいニュースです。

 ***ドナルド・キーン氏の今この時点での日本への永住と帰化の表明には驚きました。日本語教育に携わる人間としては忘れてはならない人物の言動だけに重く受け止めています。

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ナツパパ

将来を指し示すことこそ、政治の仕事、と思うのですがねえ。
先は遠くても、志が高ければ、人は付いていくと思うのですがねえ(溜息)
by ナツパパ (2011-04-30 09:20) 

fumiko

大地震の最中、1件の事故も出さなかった東北新幹線の
振動察知の技術力は日本が誇る分野ですね。
腐った面がもろに見える今だからこそ、真の品格も良く見えます。
ドナルド・キーンさんのような行動に・・・

by fumiko (2011-04-30 12:43) 

anan

本当に若いもんに助けられています。ありがとう。
ドナルド・キ―ンさんも凄いです。この人は日本文化を形作った日本人が好きなんですね。この方の書いた本から、恥ずかしながら、私は日本語を学びました。「母国語」の上に胡坐をかき、日本語、そしてそれに規定される日本文化の真髄を知らなかったのです。
by anan (2011-05-06 22:42) 

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