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ベトナムの光 [gillman*s Lands]

ベトナムの光

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 また、匂いの話で恐縮なのだけど、通常は外国に行くと嗅覚が普段よりも敏感になるような気がする。まず、その国の飛行場に降り立つとその国独特のにおいに気が付くことがある。それはその国独特の香辛料の香りだったり、地理的に潮の香りだったり、埃や排気ガスの匂いだったりその要素は千差万別だ。

 大昔、初めて早朝のウィーンの街に入った時、独特のパンの香りがしたのが今でもはっきりと記憶に残っている。アジアの街などで市場に入った時に津波のように押し寄せてくる喧騒の音の波とあらゆるものが混じり合った強烈な匂い。聴覚と嗅覚が嫌でも覚醒せざるを得ない状況に追い込まれる。それがまた旅のだいご味でもあるのだけど…。

 ところが嗅覚を失ってからはそういう楽しみがなくなってしまった。どこへ行っても現実感がない。匂いが分からないと味の感覚も半減するから、今まで匂いが苦手で食べられなかったものでも食べられてしまう。良いような、悪いような。ビジネスなどで必要にかられてどこか他国に住まなければならないようなときには食べられないものが無いということは得なことなのだろうけれど、楽しみで旅をするにはちと味気ない。

 人間は一つの機能を失うと残った機能が先鋭化されるということがあるらしいのだけれど、ぼくの場合はまだそういう風にはなっていない、なってはいないけれど、今まで以上に光のありように敏感になっているかもしれない。というか、そういうことで現実感を補おうという意識が働き始めたのかもしれない。

 日本にいるとぼくらは光の変化の中に季節の移ろいを感じることが多いけれども、季節の変化の少ないベトナムやカンボジアでももちろん光は刻々と変わっているし、場所によっても異なっている。ホイアンの中国人の古い商家の土間に差し込む光。薄曇りのダナンビーチの朝の湿ったような空気を抜けてきた光。バッチャン村の陶器工場に差し込む光はやわらかく白い陶器の肌を包み込んでいた。ベトナムにはベトナムの光があるような気がする。これからはもっと目を凝らして光をみつめてゆかなければ…。

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ナツパパ

ベトナムって行ってみたい国の筆頭です。
高温多湿だそうで、太めのわたしなどバテてしまいそうですが、
それでも、異国を感じさせてくれる風景は新鮮でしょう。
驚くために旅行をする...やりたいなあ。
by ナツパパ (2017-05-11 19:44) 

kjisland

ベトナムと言っても、ホーチミンとハノイでは、すごく違いますね。先日、ハノイに行ったんですが、気温が17度、20度で、寒かったので、びっくりしました。シェムリアップは、27度、30度超えですから。。。。
by kjisland (2017-05-11 20:10) 

kjisland

私も、嗅覚は、ダメになってきたようで、昔みたいな新鮮味を感じるのが少なくなってきたような気がします。そのぶん、光と空気を肌いっぱいに感じています。だからこそ、先日のハノイは、寒かったなあ?!(笑)また、書いてしまいました。
by kjisland (2017-05-11 20:12) 

JUNKO

私も行ってみたいです。
by JUNKO (2017-05-12 16:32) 

coco030705

こんばんは。
昨年ベトナムへ行ってから、また行きたいと思うようになりました。今年はできたらホイアンやフエに行ってみたいです。日本に無い魅力がありますよね。

by coco030705 (2017-05-13 23:34) 

めぎ

美しい光を捉えたお写真だなあ・・・と思って拝見していたら、そうですか・・・
でも、本当に素敵なお写真だと思います。その場の雰囲気がとても伝わってきますし、そこのにおいも感じられますよ。
by めぎ (2017-05-14 22:15) 

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