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あの時の文春 昭和五十一年三月号 [あの時の文春]

あの時の文春 


30年の時を越えて  昭和五十一年三月号(1976年)

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 文春に掲載されている加瀬俊一氏の連載ヒットラーが登場するまでは、ワイマール共和国の終焉から第三帝国の誕生までを描いたノンフィクションの力作で後に「ワイマールの落日」として単行本にまとめられた。
本連載はこの号で11回を迎えいよいよヒトラーが古いナチス党の創設仲間と訣別をし「総統」としての地位を確固たるものにしてゆく段階に来ている。加瀬氏は1930年代には若き外交官としてベルリンに滞在し、日本の対独外交の現場におり、ヒトラーなどとも会っているので歴史をリアルタイムで体験している。

 ヒトラーはワイマール共和国という当時もっとも民主的と言われた国家の下でSA(ナチス党突撃隊)という暴力装置の力をちらつかせながらも形としては民主的・合法的に権力の階段を昇っていった。そして実質的な権力を手に入れたとき自分の意のままにならないSAが邪魔になり始めた。権力を掌握したヒトラーはドイツ国防軍という、いわば正規の暴力装置を手に入れたしSS(ナチス親衛隊)というヒトラー個人に忠誠を誓う新たな暴力装置も手に入れていた。

 1934年6月30日彼はついに意を決して邪魔な勢力を一挙に抹殺することにした。それが「長いナイフの夜」だ。先日古い資料を整理していたら奇しくもこの「長いナイフの夜」へとつながる一枚の古い写真を見つけた。それは70年以上も前にドイツの知人が撮った一枚の写真だ。そこにはヒトラーを含めドイツの暗い時代を刻んだ三人の男が写っていた。 →ある独裁者の影


 昭和五十一年三月号

①Cover Story
~第74回芥川賞発表~
▽岬…中上健次
▽志賀島…岡松和夫


②Main Article
▽銀行を斬る…上之郷利昭

特別レポート
-高度成長経済は企業の借金経営から始まった。しかし減速経済を迫られた今、銀行はいつまでも床の間を背にしてはいられない
-史上最高の倒産数を数える未曾有の不況の中で、銀行だけが安定した利益をあげ続け、不満・怨嗟の声は日ましに高い。かつて高度成長の担い手だった銀行と、この非難を浴びる姿との落差はどこから生ずるのか。その生態をつぶさに検討することによって、将来の銀行の、ひいては日本経済の在るべき姿を、浮き彫りにしてみたい。
~代々木路線を解明する~
▽日本共産党の研究3…立花隆

-付:いわゆる宮本委員長の復権問題
-共産党が天皇制を打破できないのは、自らの組織が擬似天皇制でできあがっているからだ
~人間を考える~
▽対論・性の自由について…石川達三/野坂昭如

-譲れない自由と譲れる自由がある、淘汰は人間の自律作用に任せるべきだ、二つの世代を代表する論客が闘わす徹宵、白熱の自由論
~デヴィ夫人伝~
▽カリーナとともに…デヴィ・スカルノ

-結婚して七年目。9.30革命嵐の中で遂に私は彼の子をみごもった


③Other Stories
▽昨日の旅…清水幾太郎
-心の恩師の遺影を尋ねた社会学徒の感慨
▽第三帝国の誕生・ヒットラーが登場するまで…加瀬俊一
-それは千年の展望の下に栄光?の発足をした
-ついにナチス恐怖の大粛清がはじまった
▽鄭敬謨・大江健三郎に答う…石原慎太郎
-お二人の論はともに北の実態を無視している
▽有名進学高校 校長座談会…灘・教育大付駒場・麻布・戸山、ラサール各校長
-地獄と言われる東大入試を前に、エリート校生徒達の驚くべき日常
▽フランスの英語狩り…倉田保雄
-英語好きの大統領のフランス語防衛戦争とは
▽父・檀一雄の手…檀ふみ
-娘の立場から見つめた「火宅の人」のやさしさ
▽菜葉煮ろ煮ろ肉腐れ…塚本邦雄
-電話番号訓み変えの"秦斗"が綴る数字詞華集
▽人生一本勝負…<座談会>川上哲治・二子山勝治・升田幸三
-金もコネも通用しない世界を生き抜いてきた三人の男の苛烈な人生

④連載小説
▽「少年賛歌」…三浦哲郎
▽「青い壺」…有吉佐和子


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hako

檀さん、学生だと思いますが、既にエッセイなど書いていたのですね。
戸山高校が出てくるところが、時代を感じさせます。
by hako (2006-03-31 22:21) 

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