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氷の世界 Ⅲ 足下の愉悦 [gillman*s park]

氷の世界 Ⅲ 足下の愉悦

 また寒くなった。春のような日があったかと思うと、いきなり真冬に引き戻される。池の葦の穂が全て倒れてしまった公園の光景は、のっぺりとして心なしか以前よりも狭く見えるようだ。吹き付ける風は遮るものがないのでいきなり体にぶっかってきて芯まで冷え切ってしまう。

 体は冷えて行くばかりだが、足元には面白い世界が広がっている。凍てついた足元の地面には今しか見ることのできない美しさと、僕をひきつける愉悦の世界がある。座り込んでしばし見とれる。両手をポケットに入れたままではいつまでたってもシャッターを押すことはできない。やっと手を出す。冬の撮影用にかみさんが指の先だけ露出している手袋を買ってくれたのだが、その露出した指の先がかじかむほど痛い。カメラの金属部分に触ると冷たくて身震いがする。

 
 池の一角に水が流れ出る出水口がある。いつもではないが、池の水量を調整するときなどここから湧き水のように水が出ていることがある。今日も水が湧き出しているが風が強いので湧き出た水が水滴となって周囲に飛ばされてゆく。その水滴が出水口の脇に落ちているラクウショウの枯葉について凍っている。凍った水滴が落ち葉を包み込むようにコーティングをしている。そこに光が当たって擦りガラスのように明るく輝いているのだ。



 池の畔にある菖蒲畑は花の時期以外はパッとしないのだが、ここに氷があるといつも面白い模様を作り出す。菖蒲の株が地表に出ているため、畑が凍るとその突起の周囲に空気を含んだ氷ができて、それが様々な模様を作り出すのだ。日が昇って少し温度が上がってくると、氷の薄いところが先に解けてまたさっきとは違った模様が出現する。ありふれた光景だが、一回限りの美しい模様だ。

 
 以前の写真でも紹介したように土の中には見事な霜柱ができる。霜柱が土を持ち上げて地上に顔をだす光景が何度も見られた。今日のは地中にできた霜柱でなく、地上にできている霜柱だ。おそらく風が強いので地表の水分が凍って霜柱になったのだろうと思う。霜柱のように上下に土がついているのではなく先端が尖っている。長いものは20Cmくらいあって、遠くから見ると髪の毛のようだ。おそらく霜柱とは別の名前がついているのかも知れない。

 
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コメント 5

山猫庵

まるで水晶の結晶みたいな霜柱ですね、美しいっ!
こちらも連日の冷え込みで道路脇の街路樹などが
クルマが跳ね上げた水ですっかり凍り付いています。
見事なところに限って交通量が多くて
とても撮影出来ないのが悔しいんですが…
by 山猫庵 (2006-02-06 18:00) 

としぽ

寒い中お疲れさんです。久しぶりに見事なシモバシラを見たように思います。
by としぽ (2006-02-06 18:34) 

HummingBird

霜柱って剣山のようですね(笑)。
二枚目の写真も面白い表現ですね。
by HummingBird (2006-02-06 20:19) 

Rucci

写真だけ じぃ・・・・っと見ていると
違う世界が広がってきてしまいました ^^
by Rucci (2006-02-06 22:46) 

自然はおもしろく、美しいものを造りますね~。
それに気づくgillmanさんも凄いです。
by (2006-02-07 16:13) 

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