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ウィーン 世紀末の光 [gillman*s Lands]

ウィーン 世紀末の光

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 一週間くらい前から友人と二人で久しぶりにウィーンに来ているのだけれども、美術館はどこもグスタフ・クリムトエゴン・シーレの作品で溢れている感じがする。以前、数年前に来たときにはベルヴェデーレ宮殿の美術館にはクリムトの「接吻」などの作品が展示されていたけれども、それ程目立つ場所ではなかったしそれ以外の彼の作品もそう多くはなかったと思う。

 その後クリムトと同時に、時と共にエゴン・シーレの評価が高まり、2001年には美術史美術館の裏手にミュージアム・クォーターが出来その中のレオポルド美術館セセッション(ウィーン分離派)芸術家たちの作品が大量に展示されるようになったこともいわゆる世紀末藝術の展示がウィーンで充実してきた一因と思われる。

 今回は主に四つの美術館、つまりウィーン美術史美術館ベルヴェデーレ宮殿上宮オーストリア・ギャラリーと下宮オランジェリーアルべルティーナ美術館そしてレオポルド美術館を観て回ったけれど美術史美術館を除く3つの美術館にはクリムトとエゴン・シーレのいずれかの作品が展示されていた。


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 クリムトとエゴンシーレは師弟のような関係であったが奇しくも同じ年に亡くなっている。クリムトが58歳、シーレはまだ28歳だった。彼らの死を持ってウィーンの世紀末藝術は終わりを告げたと言ってもよいかもしれない。その彼らの死んだ年が1918年、つまり来年が二人の世紀末芸術家の没後100年の年なのだ。

 ということで、来年のウィーンはまさに世紀末藝術の展示で溢れかえるかもしれない。長らく西洋美術史の教えを乞うている某先生の話によると、日本の美術館もクリムト没後百年展を狙ってウィーンにアプローチしているが苦戦しているらしい。考えてみれば本場のウィーンこそ100年記念で盛り上げたいのだから、そんな時に重要な作品を海外に出すはずがないと思うのだけど…。


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 *ぼくは以前ここにも書いたのですが、世紀末現象というのは新たな世紀を迎えてもまだ十数年は続くと思っているのですが、1918年のクリムトとシーレという二人の世紀末芸術家の死は正にそこでやっと19世紀末が終わったという見方もできるかもしれません。

 来年はそれからちょうど100年、してみるとぼくらは今まさに20世紀末をまだ生きているということも…。折しもウィーンは今10月15日に行われる総選挙に向けて右と左の激論の真っ最中です。世界の動きを見ても移民、難民問題から政治のポピュリズム化、右傾化そして反動的政治家の続出など今がまさに20世紀末であるような気がしてなりません。


[photos]
レオポルド美術館からマリアテレジア広場方向を眺める
アルベルティーナ美術館の窓から市内を臨む
レオポルド美術館のエントランス
レオポルド美術館からマリアテレジア広場方向を眺める



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JUNKO

2人の作品を見るいい機会なのですね。うらやましいことです。

by JUNKO (2017-10-10 19:38) 

coco030705

こんばんは。
昔からクリムトが大好きだったんで、gillmanさんがウィーンにいらっしゃるのが、とてもうらやましいです。本場で観るクリムトとエゴン・シーレはやはりすばらしいでしょうね。

by coco030705 (2017-10-10 22:00) 

TaekoLovesParis

この季節、秋のウィーン、静かで奥行きがあってすてきな感じがします。
モノクロの写真が世紀末のウィーンを想像させてくれますが、光りの入り方が現代っぽくて、おしゃれな感じがしました。
by TaekoLovesParis (2017-10-11 00:48) 

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