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突然の花園 [新隠居主義]

突然の花園

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 家の近所にずっと空き地になっているところがある。空き地になる前はどんなだったかちょっと想い出せないが、かなり長いこと空き地になっている。その空き地の周りにロープが張られて敷地の真ん中に「区管理地」という大きな立て札が立った。

 ここら辺は昔は農家の家が多かったので、今でも相続税を物納する場合もあるようでたまにこんな看板を見かける。他でも見かけた様に、そのうちにこの土地にも今度は「売り地」の看板が掛かって何軒かの建売住宅が建つんだろうなぁ、と思っていたが一向にその気配がない。

 かなり広い土地だからまとまってこれだけの土地を購入する業者も少ないのかもしれない。この辺は建蔽率が厳しく高層のマンションのような高い建物は建てられないのでマンション業者は手を出さないのだろう。そうこうしているうちに今度は「区管理地」の看板がとれて、それに代わって「暫定公園地」という何だか分からない立て札がかかった。

 何が暫定か良く分からないけど、とりあえず空き地にしておくだけではもったいないから公園にしようと言うのか。だったら子供の遊び場用に何もない「原っぱ」で開放するのもいいと思うけれど…、ぼくの子供の頃には至る所に原っぱがあった。 そのうちロープで囲って入口には鉄の門までつけて中でなにやら作業が始まった。扉には開園閉園時間なんかも書いてある。

 フェンスには公園管理の作業をする業者のプレートが掛かっているが、公園の中には全体的にはアンバランスな感じで木枠でできた花壇や、よくホームセンターで売っているダイキャスト製のガーデンテーブルセットが置いてある。花壇に植わっている花は時々入れ替えられているようだ。花壇の脇には雨水をためるらしい大きなドラム缶が置いてあったりして、全体としての雰囲気はどうもちぐはぐな感じは否めない。

 そのスペースが入口から三分の一くらいを占めており、その後ろの広いスペースは草むらになっている。どのくらいの管理コストがかかっているのかなぁ、などとその前を通るたびに余計な心配をしていた。しかし時が経つにつれてそれなりにちゃんと手入れがされていることは分かるようになった。きっと限られた予算の中で算段しているのだろう。

 その得体のしれなかった公園が、この間その前を通ったら見事な花園に変わっていた。入口近くの三分の一くらいのスペースは相変わらずの雰囲気のままだが、その背後の草むらが見事な花園に変身していた。いっそのこと公園全体がそんな花園になっていれば、もっと感動的なんだろうが。でも、その突然の花園を目にしてその日一日はちょっと気分が良かった。 

  ■ 生えて伸びて咲いてゐる幸福  (種田山頭火)


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 *そう、あの雪だるまがいたあの空き地です→ 淡雪



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としぽ

何気なく使っているけど、イヤフォンのコメントが気になりました。
地方では視聴する機会もないので参考になります。

by としぽ (2011-07-09 10:40) 

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