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ねぐら [gillman*s park]

ねぐら
 
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  ■枯木に鴉が、お正月もすみました (山頭火/草木塔)
  ■啼いて鴉の、飛んで鴉の、おちつくところがない (山頭火/草木塔)
 
 山頭火の句にはカラスを詠んだ句がじつに多い。カラスにあたる漢字には「烏」と「鴉」と「雅」という三種類の字があるけど、山頭火はいつも「鴉」の方を使っていた。「鴉」の方の漢字は左の偏の方が「アア」と鳴くカラスの鳴き声を表している。山頭火は行乞の旅の中で頻繁に見かけるカラスの存在に自分をなぞらえていることが多いのもこの字を使っている理由の一つかもしれない。

 ぼくも元来カラスは嫌いではない。夕暮れの公園を散歩した時など、カラスがねぐらに帰る光景はどこか郷愁を誘う。昔、子供のころ原っぱで遊びに夢中になって陽が傾きかけたのも気が付かないで親が迎えに来る頃カラスもねぐらに帰る。カラスが鳴きながら茜色の夕空を横切る姿は子供のころから目の底に焼き付いている光景だ。
 
 
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 でも、最近のこの公園にはいかにもカラスが多すぎる。その一つの原因になっていると思われるのが、この公園を訪れる人のカラスや野鳥への餌やりだ。いつも午前中に公園を散歩するとよく見かけるカラスおじさんがいる。公園では野鳥への餌やりは禁止されているのに頻繁にカラスに持ってきた餌をやってるのを見かける。

 一昨日は餌やり禁止の張り紙の前で堂々とやってるのでさすがに見かねて注意した。最近は変な人が多いから怖いので無暗に注意するなと前もカミさんに釘を刺されているけど…。
「ここは餌やり禁止ですよ」
「…かわいそうじゃねぇか」
「カラスが自然に自分で取れる以上の餌をやれば増えすぎて結局は駆除されて、もっとかわいそうなことになるんじゃないですか」
「…ふぅん」
こちらの方を見るでもなく、餌をやり続けている。

 昔の自分のブログを見たら2005年に公園に都が設置したカラスのトラップの写真が出ていた。最初に経験の浅い若い烏がかかってそれを見に他のカラスもやってくる。トラップにかかったカラスがなんとか出ようとしてずっと鳴いていたのを覚えている。今でもかわいそうに思っている。また、そんなことにならなければいいのだけれど…。

 最近は近隣からもカラスが餌を当てにして公園に集まって来ているし、気の強いカラスを避けてか渡り鳥の飛来は逆に減っているような気がする。こういう独りよがりのカラスおじさんやハトおばさんがあとをたたない。優しさがその行為の発端なのは分かるけど、その方向性が間違っているような…。
 
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 *夕暮れ時はマジックアワーと言われるように魅力的な時間帯で刻々と変わってゆく光に見とれてしまうこともありますが、この日もそんな日でした。茜色の空が広がる頃、カラスたちが三々五々ねぐらの樹に帰ってきます。

 木のてっぺんの一番いい場所を取ろうとあちこちで小さな小競り合いが…。空が薄暗くなり始めるとその内静かになってきます。暮れきる直前に森の向こうに赤黒い残照が垣間見え手前に黒々とした木々と鴉たちのシルエットがぞくっとするほど美しかったです。その色合いがどこか加山又造の日本画のようでした。

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Baldhead1010

マジックアワー、素晴らしい光景ですね。

烏の鳴き声、たくさんありますね。
by Baldhead1010 (2021-02-01 04:12) 

TaekoLovesParis

サイドバーの「コーヒーをめぐる冒険」を見たとたん、あらこの顔は、、トム・シリングは、私が記事にした「ゲルハルト・リヒター」で主役=リヒター役でした。その前に見たハッカーの映画「ピエロがお前をあざ笑う」でも主役。ちょっと外またの歩き方に特徴がある気がします。たしかにOh Boyがコーヒーを、、ではイメージが違いすぎますね。À bout de souffle勝手にしやがれ ふうの映画なのですね。「なんてこった」、いいですね。DVDを探してみてみます。
by TaekoLovesParis (2021-02-05 23:31) 

ZZA700

カラスは頭が良いし見ていて飽きないですね。
もし違う色だったら皆から好かれる鳥になっていたのにと思います。
by ZZA700 (2021-02-07 02:27) 

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