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昭和チックな良い正月だったが… [新隠居主義]

昭和チックな良い正月だったが…

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 浅草寺の本堂から仁王門を望む


 の喪が明けて初めての正月。のんびりはしたが、どこか気抜けしたような感じもした。二日には親類も集まって新年のお祝いをし、三日には近くの西新井大師に初詣に行った。参拝客の多さは例年通りで本堂に行きつくまで長い時間がかかるのを覚悟していたけれど、毎年の事なので警察などによる整理の方も手馴れてきたのか手際よく思ったほど時間はかからなかった。

 参拝後、人混みの中をのろのろ歩きの状態で境内を進むと、毎年見慣れた屋台風景の中に混じって去年と同じ場所に射的屋が店を出している。ぼくの知る限りもう何十年もの間正月にはこの場所に射的屋がでている。もう令和の正月なのだが、これだけを見ていると何とも昭和チックな正月風景だった。

 正月三が日が明けると天気がぐずついたけれど、9日になって良い天気になったのでカミさんと今度は浅草寺に初詣に行った。平日でも浅草は大変な人出だ。日暮里からバスで行ったのでいつものように雷門からではなく二天門の方から入り先に三社様の浅草神社からお参りした。境内では猿回しが始まったところでしばし見物。

 浅草寺の本堂で参拝してお堂の上から仁王門(宝蔵門)の方を眺めると、お線香の煙がもうもうと立ちあがっている。境内の人々の雑踏の音、本堂から聞こえてくるゴマを焚く読経の声、どれも昔から馴染んだ正月の風景だ。しかし少し耳をすませば聞こえてくるのは殆どが外国語。参道には見るからに安手の派手な着物姿もどれも外国人らしい。皆楽しそうでハッピーでこっちだって決して厭な気持にはならないけど変わったなぁ、というのが実感。ぼくのように毎日ぼーっと暮らしていても、ハッと気が付くと世の中が大きく変わっていることに愕然とする瞬間というのがあるものだ。


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    西新井大師の初詣風景


 見た目は穏やかで昭和チックな正月だったが、世情はイラン攻撃だのゴーンの遁走、カジノの汚職などで波乱の幕開けの予感。時は容赦なく進んでいる。誰もが感じていることだと思うけれどもうここ数年世界の歯車が狂い始めているという不安をぼくも持っている。何か得体のしれない、大人しくじっとして頭を低くくしているだけでは容易に通り過ぎて行ってはくれないような…。

 多くの国で台頭しつつある国家の露骨なミーイズム。わが国でも本来ちゃんと残して歴史の判断に委ねるべき国民の大切な情報が毎日のように抹殺され、官僚が見え透いた嘘を繰り返したり…。人類が貴重な血を流しながら長い時間をかけて少しづつ積みあげて来た民主主義的な思考やシステムが世界のあちこちで綻び崩壊寸前の状態になっている。

 これはきっと短時間で一朝一夕に解決できることではないし、これからもっと大変なことが起きるような気もして、出口が見えない。考えてみるとベルリンの壁が崩壊して東西デタントが起きた頃が歴史のターニングポイントだったように思う。あの出来事で大戦後は西側の勝利ということになったのだが、それは祝福や安堵ではなく皮肉にも傲慢と暴走を招いたように思う。

 それまで西側社会は東側の社会主義に対して、資本主義のその正当性・優位性を主張するために絶えず自己検証を続けてきた。それはある意味で人権意識や公正さや格差是正など今では民主主義の根幹をなす思考を発展させ磨きをかけることにもなっていたと思う。こちら側の社会の方がそっちより真っ当だと言えるように…。

 そのタガが外れたか、それとも比較すべき世界を喪失したからか、みなが夢見た世界は次第に遠のいていったように思う。一握りの金持ちが潤えば、やがてそのおこぼれで下の階層も潤うようになるというフリードマンのトリクルダウンのまやかしにも世界はもう気づき始めている。 と…まぁ、んなこと、なにも正月から考えなくてもいいか。


 ■ 目出度さも ちう位也 おらが春 (一茶)


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浅草神社の猿回し


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